昭和の爆笑王
これはイイ、じつにイイ。
と、Twitterで楠木建さんが呟いているのがきっかけでAmazonでポチりした。
読んでみたら、たしかにイイ、めちゃくちゃイイ。
最初に新聞の記事が載っていて、昭和25年の記事の言い回しがあまりに読み取りずらかったか上に、アプレ・ゲエルなんて言葉知らなくてグーグルで調べながら読んだ、難しくて読めないかも・・・、なんて心配は一瞬でなくなり、「顔」の題名に入ったとたん面白くて一気に読んでしまった。
戦前、戦中のすさんだ人の心に落語で笑いを届けた人「三遊亭歌笑」の物語である。
醜い顔で産まれてきた治男は顔だけが恵まれなかった、名家の10人兄弟の末っ子で、幼少は乳母に預けられ大事に育てられたし、兄はいつでも気にかけ味方でいてくれるし、
入門した落語家師匠三遊亭金馬も温かく見守り育ててくれる。
「顔」だけが劣等感で、大きなハンディでもあった。
しかし、その顔が芸を生み出し、戦中の治男を助け、心を見てくれた女性と結婚する。
5年の輝きを残して31歳でこの世を去った落語家の話しは、生きていたらどうだったのだろうと思わずにはいられない。